2020/3/13 Fri

「氷見の休日~まちで暮らす人々~」—半径150メートルのとある不思議な一日

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FWHスタッフ
田矢美桜奈

 さて、本日は日曜日。氷見ワーホリ生活も3日目となりました。3月に入ったからなのか、前日とは打って変わってぽかぽかとした気候でとても過ごしやすいです。

今日は「みらいエンジン」から道を挟んだ向かい側にあるコミュニティスぺ―ス「HIRAKU」で朝10時からイベントが開かれると聞き、同じくワーホリ生の後藤くんとさっそく行ってきました!

今回のイベントは「読書部」。
参加者それぞれが心に響いた本を持ち寄り、集まった人たちにお勧めします。

一見シンプルに思えるこのイベントですが、どんな本が心に響くかは各々の価値観やこれまでの人生の過ごし方が大きく関わってくるため、意外と奥が深いのです。

-人間の限界を試す場所である北極や南極などの「極地」が好きな人
-「お金を儲けること」について本気で考えている人
-「時間」という概念について深く捉えなおしている人
-失った命を悼み、その大切さを噛みしめる人

ここに列挙しただけではほとんど何も伝わらないかもしれませんが、様々な人生が交錯するなかでそれぞれの思いがほんの少し垣間見えた気がして、開放的だけれども深みのあるとても素敵な空間だと私は感じました。
また機会があればぜひ参加したいです。

この後は3月下旬のオープンに向けて現在作業中のパン屋さん『考えるパン KOPPE』の見学に行きました。こちらも同じ中央町商店街の中にあり、みらいエンジンからも歩いて数十歩ほど。オープンまで一カ月を切り、作業も大詰めです

案内してくれたのはふわりとした優しい笑顔が印象的な竹添英文さん。
1階を店舗に、2階以上は一家の住居として今後利用していきます。
それにしても、溢れる光が明るい…!リフォームしてすぐということもあって、白木の色がピカピカに輝いて見えました。
そして英文さんは「ここからの眺めが一番好きなんだ」と言って屋上に連れて行ってくれました。

そこには、海を見下ろせる絶景が。
島根県出身の英文さんは、穏やかな氷見の日本海が故郷の風景に重なるそうです。
移住を決断して物件を色々と探していた際、「この景色を毎日見られること」が決め手のひとつになったそう。
ちなみに、私のプロフィール画像はこちらの屋上で撮らせていただきました!

1階に戻ると、妻のあゆみさんと2歳になる娘の左右加ちゃんが来ていました。
ご夫妻は元教員。それぞれ社会と国語の先生をしていた際に出会って結婚し、あゆみさんの妊娠を機に一家で氷見への移住を決意したそうです。

富山県出身のあゆみさんは以前から「子育てをするなら氷見で」と決めていたそう。そして市役所勤務をする夫の傍ら、長年の夢だったパン屋を氷見の地で開くことにしたのです。

ここまで漕ぎつけるにも様々な苦労があったそうなのですが、詳しくはこちらをご覧ください。
『考えるパン KOPPE』のクラウドファンディング

過去に『考えるパン KOPPE』について書かれた記事①

過去に『考えるパン KOPPE]について書かれた記事②

オープン予定日は2020年3月20日。
残念ながら私のワーホリ期間が終わってしまった後なので、いつかまた氷見に来た時に必ず伺います!!と約束をしてからお店を後にしました。

*     *     *

その後は中央町商店街の西の外れにある『コーヒーハウス マイケル』でランチを頂きました。「焼きチーズカレー(800円)」はサラダも付いて大満足のボリューム。しかもめっちゃ美味しい。
何それ最高やんって思ったそこのアナタ。…はい、最高です。カロリー的にも色々と贅沢なお昼ご飯です。

腹ごしらえをしてから「HIRAKU」に戻ると、何やら子ども連れが集まり賑やかな雰囲気に。
この日の午後は「HIRAKU」の場所を借りてシルクスクリーンやメッキ加工などの体験型ワークショップが開かれていたのでした。


初めてのシルクスクリーンを頑張るももちゃん

せっかくなので私もシルクスクリーンを体験してみることに。
素材は黒色のサコッシュを選びました。

ちなみに、シルクスクリーンとは印刷方法の一種。
色を付けたい素材の上に特製の版を置き、インクや絵の具をその上に置いて刷り込むことで色を付ける方法です。そのシンプルさ故に汎用性も高く、布地だけでなく様々な製品に活用されています。

選んだ絵の具を付けて…

専用のへらで伸ばし…

こんな感じでドライヤーで乾かしたら…

出来ました!最初の図柄「しんだおさかな」の完成です!

私は以前、美術館のミュージアムショップでアルバイトをしていた際に偶然シルクスクリーン製のトートバックを売っていたので、今回実際に体験出来たことで少し感慨深い気持ちになりました。

このワークショップを開いているのは『FCTRY』の田中祥恵さんと荻原麻衣子さんの女性二人組。保育士だった同僚時代から工芸やアートが好きという共通の趣味で意気投合し、昨年の秋に晴れて会社を立てて独立したとか。現在ではシルクスクリーン・メッキ加工・缶バッチ制作の3つを売りに各地でこうしたイベントを開いて回っているといいます。
お二人とも氷見育ちですが、自分たちの子供時代の方がやはり今よりも格段に賑わいがあったそうです。「ふるさとのために何かしたい」という想いも独立への大きな原動力となりました。
ですが、15年近くも続けた仕事を辞めて新たな道を踏み出すことに怖さや躊躇いはなかったのでしょうか。「どうして一歩踏み出す勇気を持てたんですか?」と私が尋ねると、田中さんが「やっぱりね、人生一回きりだなって思って」と笑って答えてくれました。


以心伝心、連携プレーもばっちり

いつか氷見で自分たちのお店を持つのが夢とのことですが、会社を立てたばかりということもあり、現在は専用の拠点がないために資材を全て車に詰め込んで運ぶなど、少し苦しい状況が続いているようです。
ですが二人とも、子供と接するのがやはり慣れているという印象。今後もワークショップで子供をターゲットにするなら、元保育士という経歴は案外強みになるのかもしれません。


にこやかな応対に自然と笑みがこぼれます

*   *      *
そんなこんなでアートな時間を過ごすうち、その場でたまたま知り合った氷見市役所職員の百々米木美由紀(どどめき みゆき)さんから「すぐ近くに私の友達がやっているカフェがあるから行っておいで」とご紹介を受け、せっかくなのでアフタヌーンティーと洒落込むことにして向かったのがこちらのお店。

干物屋さんじゃないかーいと言われそうですが、違います。ちゃんと干物屋さんの一角にご紹介してくれた「Café Nami」はあるんです。

あ…これ絶対どれ頼んでも美味しいやつ。

迷いに迷った挙句、「苺とピスタチオのムース」と「アルパカコーヒー」をお願いすることに。しばらくすると、お店のオーナー吉川奈美さんがお待ちかねのケーキとコーヒーを持ってきてくれました。

お、おしゃれ…!ケーキも花びらをあしらっていて見た目も楽しめる一品になっています。
では、いざ実食!
んー甘酸っぱいソースとフレッシュなムースが絶妙に調和していて本当に美味です…!コーヒーも少し酸味の利いた爽やかな口当たりが甘いケーキによく合います…!

と、ここで氷見市内の老舗干物屋さん『柿太水産』の柿谷政希子さんがちょうど奈美さんを訪ねてきました。どうやら今度共同で開発する商品について議論している様子。せっかくなので件の開発中の新商品「にぼしチョコレート」を試食させてもらうことに。

見た目は正直びっくりぽんですが、食べてみるとにぼしのほろ苦さとチョコレートのビターな感じが意外と合ってるんです…!

2月14日が言わずと知れたバレンタインだけでなく、実は「にぼしの日」であることにちなんで『柿太水産』と高岡のチョコレート屋で働いていた経験もある奈美さんのコラボで作られているこの商品。完成した暁にはぜひお土産に買って帰ろうと思います。


調理師免許を取った後、フランスでパティシエ修業をしたり、ワイナリーなど様々な場所で働いた経験から、和食からイタリアン、フレンチ、スイーツに至るまで多彩な料理を作ることが出来る奈美さん。

実はこのお店は先月の下旬にオープンしたばかりだそう。元は注文式の予約制販売が中心で、縁のあった氷見ロータリークラブの方に頼まれてデザートを出したところ、「なみちゃん、ちょうど良いところ空いてるからお店開いちゃいなよ!」と言われ、奈美さんの方も「自分でレストランを持ちたい」という長年の希望があったことから、まずは短時間でカフェの営業を始めることに決めたのだとか。「氷見の人は楽しくて優しくて、何かを応援してくれる雰囲気があるんです」と奈美さん。


それぞれ7歳・5歳・3歳のお子さんたち。めちゃくちゃかわいい。

そして奈美さん、なんとお子さんが長女・次男・三つ子の男の子⁉の計5人いるのだとか。この日も午前中に息子さんの発表会を見てからお店にきたそうです。
いずれはこのお店で料理や定食も提供したいそうですが、まだ手が回らないご様子。子育ても奮闘するママさん料理人に今後も大注目ですね!

ちなみにこのお店を紹介してくれた百々米木さん(通称:どどちゃん)とは『HIRAKU』ワイン部の飲み友達。百々米木さんが以前高岡のホテルでソムリエをしていた関係もあり、いつも話が弾むそうです。
*     *     *
事務所に戻って小一時間もすると、もう夕飯の時間。またまた『HIRAKU』にて今晩は「粉もの部」が開かれるとのことだったので行ってみることにしました!

今日はご近所の方や遠方から来た人も交えてたこ焼きパーティーです。
色んな世代の人が協力して料理を作ります。


時折出現する「将棋部」


たこ焼きを作るのにすっかりはまり込んだ田矢。

そしてデザートは桜餅!桜色の生地を焼いた後、料理上手の野村さんが丸一日かけてつくったお手製のあんこをくるんで桜の葉っぱで包みます。


そりゃあインスタにも上げたくなりますね

私を含めその場にいた人ほぼ全員が桜餅を手作りしたことなど今まで一回もなかったため、これが大盛り上がり。量産型桜餅は徐々にその勢力を増し、次第に「皮だけスペシャル」「なんだかよくわからないもの」などの変化球が出現し始めました。しかし桜餅番長・弱冠10歳のまさよし君の監督により寸分の違えない純・桜餅が生産され続けたことで私たちの心のふるさと、「SAKURAMOTHI」は守られたのでした…ってなんじゃそりゃ。

でも、みんなで何かを作って食べるということがこんなに楽しいことだとは知りませんでした。普段見知った友人たちと鍋パーティーやチーズタッカルビパーティをすることはありますが、ほぼ初対面のご近所さんたちとこんなに当たり前のように団欒して過ごすというのは、ありそうで中々見られないことだと思います。少なくとも自分にとってはとても新鮮で、そしてどこか憧れのような、素敵な空間でした。

*   *   *
この日訪れた中で西端の「コーヒーハウス マイケル」から東端の「干もの屋氷見(の中の『Café Nami』)」までの距離はわずか290メートル!…地図で見ると300メートルなんて本当にちっぽけな距離ですが、集まる人がいて、ささやかだけど楽しめるものや美味しいものがあって、そして一緒に笑顔でいてくれる人たちがいれば、案外生活は成り立つのかもなあと感じました。もちろん、現実はそう甘くはないと思いますが。でも、たまにはこういうほっこりする日があってもええなあ…

人のご縁に結ばれて、おかげさまで心があったかくなるような日曜日を過ごすことが出来ました。
次のレポートも乞うご期待です…!

~Special thanks:この日出会った人たち~
・『HIRAKU』読書部の方々
・『考えるパン KOPPE』竹添さんご夫妻
・『FCTRY』田中祥恵さん・荻原麻衣子さん
・『Cafe Nami』吉川奈美さん
・『柿太水産』柿谷政希子さん
・『HIRAKU』粉もの部の方々