みらいエンジンスタッフの岸本です。
氷見市内にまた一つ魅力的なお店が出来たらしいと聞いて、早速、情報を元に車を走らせました。
しかし……
行けども行けども、山と田んぼ、緑色の世界が延々と続きます。
のどかだな~~~~~~~~
「本当にこんな場所に新しいお店があるのか?」
だんだん不安になってきます。
しかし噂を信じて車を走らせます。すると……
看板を見つけた時の安心感。
ありました!
里山工房Fico(フィーコ)さん!
噂は本当だったんだ!
ラピュタを見つけた少年の気持ちです。
みらいエンジンの事務所のある中央町から車で約15分。
到着した場所は氷見の早借(はやかし)という場所です。
早速中へ入ってみましょう。
店内は素朴で小さなところが非常にトキメくお店。
どれも美味しそう……
この日は子育て支援グループの方々が子どもたちのおやつを買いに来られたようで、「少し品薄で」と申し訳なさそうな店主さん。
愛されているお店なんですね。
こちらがお店を営む廣田さん親子。
佳菜さん(左)と、お母様(右)と叔母様(取材当日は不在)の三名でお店をしているそうです。
廣田さん一家は県内の射水市からの移住者さん。
なぜご一家で移住し氷見市で開業となったのか、お話を伺ってみました。
―お店を始められた経緯を教えてください
「ここは祖母の家なんです。家族全員で氷見の祖母の家に住もうということになった時に、たまたま氷見のJAでイチジク農家の募集というか、育ててみませんかといった内容の張り紙を見つけました。それで、やってみようということになって。イチジク農家の勉強をしながら、速川地区が力を入れて取り組んでいるサツマイモでチーズケーキを作り、母が当時勤めていたキッチンソライロさんで出していたんです。はじめはテイクアウトをやる予定はなかったんですけど、この辺はお店が全然なくて、せっかく来てくれた人たちのために何かお店があったらいいなって。それで祖母の家の隣にテイクアウトできる店舗を作りました。去年の10月からなので、ちょうどもうすぐ1周年ですね」
ーすごいチャレンジ精神ですね……!前職は何をされていたんですか?
「雑誌の編集だったり、飲食店のスタッフをしていたり、今とは全然違うお仕事を色々としていました。お菓子作りは勤めていたカフェのシェフに教わって、ノウハウを学びました」
―では果樹の栽培やお菓子販売は初めてだったという事ですか?
「そうですね。イチジク栽培は最初の一年目はやはり上手くいかなくて。地元のイチジク農家の方に栽培方法を教えてもらったり、お菓子に使う分を買わせていただいたりしていました。今年ようやく商品に出来るほどのものを収穫できました」
ーやはりすごいチャレンジ精神!しかも移住先での挑戦。不安などは無かったのでしょうか?
「とにかく近所の方々や地域の方がみんな本当に優しいんですよ。小さいお店だけどすごく気にかけてくださって買いに来てくれたり、口コミで広めていただいてとてもありがたいんです。地域おこしをしている方々がすごく協力的だったり、子育て支援の団体の方々もよく来て下さるんです。うちのお菓子は添加物を一切使っていないので、子どもたちにと喜んでもらえて、それがまた嬉しくて」
ー素敵な連鎖反応が起こっているのですね
「とにかく今は地域に恩返しをしていきたい。その気持ちでいっぱいなんです。この時期のイチジク収穫が終わったら、次は加工品やイチジクメインのおやつなどを作って地域の活性化につなげたいなって。ネットでの通販をしたり販路拡大のような事も考えるんですけど……今はネットを使わずに、ここへ来てお店を知って貰って氷見のこの里山の風景とお菓子を一緒に楽しんでもらいたいんです。ここはコウノトリ来るし、夏には蛍も見られるし。お菓子を売りたいというよりもここの良さを知って欲しい、足を運んでほしいと思っています。速川はサツマイモ、早借はイチジクという風になっていけばいいなって思います」
(地域で獲れる野菜が紹介されています)
温和で透明感が溢れる佳菜さんのピュアな心意気はしかしながらとてもとてもとっても熱く、筆者、思わず「推せる……!」と思いました。オタク気質ですみません。
でも、「推したい」というのは「応援したい」ということ。
ひたむきで真っ直ぐに努力する佳菜さんの姿に、地域の方々が応援したい気持ちになるのが分かる、と思いました。
こちらがFicoさんのお菓子。
イチジクのソースのパンナコッタ(左)、看板メニューのサツマイモのチーズケーキ(右)。
どちらもとっても素朴ながら、素材をすごく大切にしているのが伝わってくるお味です。
なんと言いますか、作り手の気持ちや優しさが商品に表れているといいますか。
味の美味しさはもちろん、それ以上のものがあって、廣田さんが「里山の風景込みで楽しんで欲しい」と言うのが良く分かります。
とにかく癒される。
癒される風景の中にある癒し効果が抜群のお店で、同市内から来ておきながら「田舎の良さ」を知った気分でした。
廣田さんがご近所さんや地域の方々からたくさんもらった優しさや思いやりの連鎖反応から生まれたものが、イチ客の私にもしっかりと広がっているのだなと、そう感じました。
■菓子工房Fico
Open 10:30~17:00(売り切れ次第終了)
定休日 火・水・木曜日
住所 富山県氷見市早借1006
Tel 0766-76-2713
Mail satoyamafico@gmail.com