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2020.12.28

生きた昭和でレトロを満喫。『喫茶モリカワ』

岸本乃梨子
岸本乃梨子
移住相談員

みらいエンジンスタッフの岸本です。

最近、若い方の間でレトロブームが来ているそうです。
昭和歌謡を聴く高校生や、レトロな柄の服を着たり、昭和の俳優の髪型を真似る若い人が増えているのだとか。
そんなレトロブームの中。
『昭和〝風〟なデザイン』や『レトロ〝っぽい〟色味』ではなく、『生きた昭和』を味わえるお店が氷見にあります。
それがこちら。

中央町商店街にある「喫茶モリカワ」さん。

喪黒福造のいるバス停「氷見中央」のすぐ近くです。

外観からしてもう素晴らしい昭和感。
看板のフォント、角の丸いショーケース、スモークを貼ったガラス扉、レース模様のカーテン。
平成にも令和にも無い、昭和特有の重めで濃い質感のデザイン。
純喫茶が大好きな筆者。レトロ風にデザインされたものではなく、本物のレトロに触れている感じがたまりません。

一歩お店に入った瞬間に、昭和時代にタイムスリップしたかのような、どこか懐かしくてホッとする安心感。
創業は昭和三十?年(具体的には不明だそうです)。
60年近くの間、地元の人に愛されてきたお店です。

外観からのイメージを裏切らないばかりか、曲線が面白いカウンターや使いこまれた革張りの椅子など。
本当にここは生きた化石とも呼べる場所なのでは。
こういったお店が現存している事が奇跡に思えてきましたし、とっても貴重な文化財レベル。そのくらいの感動があります。

このお店のメイン暖房器具として君臨しているストーブ。
我が家にもこのタイプのストーブがありますが、空気をじわじわと温めてくれて、すっごく暖かいんです。
やかんを乗せておけば、お湯が沸いていつでもあたたかいお茶が飲めるし、何よりも乾燥知らず。
やかんもそりゃ光るってもんです。

笑ゥせえるすまんのグッズも売っています。

ご主人曰く「私、喪黒福造みたいだし、このお店は魔の巣(笑ゥせえるすまんに出てくるお店)みたいでしょ」と。

それにしても、独特にして至高な店内。

謎のスペースと、小さな扉。
半円にくり抜かれた屋根(?)といい、それを支える柱のデザインといい、目に映る全てが新鮮で面白いです。

常連客の方に並んで、カウンター席に座らせていただきました。

メニュー表が出てきただけで感動。
伝わりますでしょうか、この、期待を裏切らない感じ。
開いてみるとさらに……

手書き……!!!(感動のあまり顔を両手で覆う筆者)

どんなフォントを駆使しても絶対に出せない、手書き文字ならではの味。
名は体を表すという言葉がありますが、字にもその人の性格が出ていると思います。
丁寧で、親しみと優しさがある接客をされてきたのかなと、勝手に読み取ってみました。

しかも、シンプルでオーソドックスなラインナップに「そうそう、これだよこれ。昭和の喫茶店ってこういうのだよ」と静かに興奮する筆者。
種類も豊富で、価格設定まで昭和の感じがありませんか?

こちらが喫茶モリカワ4代目のご主人。
すごく優しくて穏やかで話しやすく、笑顔が素敵です。
時折、キッチンから鼻歌が聞こえてきて、なんというか、カウンター席に座っているだけで自分の心の角が削られて、気持ちが丸く穏やかになっていきます。

このお店ならきっと、今時のオシャレパンケーキではなく、古き良きホットケーキが味わえるはず。そう確信しました。

ご覧ください、こちら。
問答無用の厚め二段重ね。
今時のゆるふわパンケーキとは格が違うのよと言いたげな堂々たる面持ち。
ここにまで昭和の風格が顕在していようとは。

ナイフを差し入れると、外側がサクッと音を立てるのに、中は密が高くてむっちり、どっしり。

撮るのが下手で申し訳ない。
見ている方にも、このホットケーキにも申し訳ないです。
外側はサクサク、中はもっちり、しかし味わってみると、なんとも優しい甘さ……
シロップをかけなくても十分に味があります。
溶けたバターがしょっぱく絡んでちょうどいい。

ご主人に「何か特別な材料を使っているとか、秘訣みたいなものがあるんですか?」と尋ねると「全然。普通の小麦粉と卵と牛乳だけだよ」と笑顔。

まさかそれだけでこんな風に美味しく仕上がるわけがない……疑心を捨てきれず、
「家でこんな風に美味しく焼けた事が無いです」
と話すと、
「昔の時代の厚くて重いフライパンを使って、油少な目でじっくり火を通していくといいよ」
と教えてくれました。
そして
「一度、小麦粉が切れた時にホットケーキミックスを使ってみたら味が違った事があった」
と。
ホットケーキミックスとテフロン加工に頼ることしかしていなかった筆者。
昭和の道具の質の高さと職人魂をここに見た気がしました。

こんなに美味しいホットケーキでも、昔はそこまで注文がなく、人気商品ではなかったのだとか。
しかし、近年のSNSの普及で喫茶モリカワの存在が広まり、若いお客さんが増えるとともにホットケーキの注文も増えたそうです。
やはり、古き良きオールドスタイルホットケーキを求める方は多いのですね。

若いお客さんでも、以前はドアの向こうから店内を眺めるだけの方が多かったのが、最近はSNSを見てお店に入ってきてくれる方が多いと嬉しそうに語るご主人。

他にも、ホットケーキと並んでミルクセーキ、オムライスが人気との事。
そんなわけでオムライス。

シンプルでスタンダードで万人の心に沁みるオムライス。
ごまかし無しのシンプルだからこそ作り手の腕の良さが伺えるような、優しくて素朴な味で、とっても美味しくてボリューム満点です。

それにしても、店内の装飾は派手なのに、落ち着くのはなぜなんでしょう。

改めて、店内を見渡してみました。

時代の流行り廃りに流されず、独自のスタイルを貫いているお店は「焦り」とか「余裕の無さ」のようなものとは無縁の世界に感じます。
カウンター席の常連さんの手元にはテレビのリモコンが置いてあって、好きなタイミングで好きにチャンネルを変えるし、それに腹を立てたり文句を言う人もいない。
ゆったりとした時間が流れていて、日常生活の中の些細な事でささくれ立っていた心がまん丸になる様な、そんな優しくて温かい空間でした。
昭和の古き良き感を視覚にも胃袋にもしっかりと詰め込み、次はミルクセーキを飲みに来ようと決めて、お店を出ました。

レトロ好きさん、昭和にタイムスリップしたい方、氷見で『生きた昭和』を味わってみてはいかがでしょうか。

喫茶モリカワ

〒935-0011 富山県氷見市中央町11−29
【TEL】
0766-72-0784
【営業時間】
9:00~20:00
【定休日】
 第1・3水曜休

 

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氷見市IJU応援センター・みらいエンジン
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