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2023.04.28

旬に「追われる」生活

昆布
昆布
「サカナとサウナ」

こんにちは。

氷見漁港そばにある魚料理専門店「サカナとサウナ」店主の昆布です。

 

4月—そう、春です、春なのです(!)。

どうしてこんなに春の訪れを強調したいのかというと、雨や雪が多く日照時間の短い富山の長~い冬が、ようやく終わるということを実感できるから。

 

この時期になるとどこへ出かけようか、何を見に行こうか、なんて会話が妻と大いに弾みます。

やっぱりまずは桜。

 

氷見には桜の名所が高台から平地までいくつかあり、それぞれ満開になる時期が微妙に違います。

 

僕が好きな名所は氷見市街地で一番高い(?)場所に位置する公園「朝日山公園」。晴れた日に一望できる氷見の町と海を満開の桜が縁取るさまは、何とも“あざとい”桜景色です。

 

その他にも氷見中心地を流れる湊川沿いに植樹された桜並木や山側の余川古寺の桜など。名所が多いからこそ、氷見の花見はぜひ計画的にしてみてくださいね。

さてこの文章を書いているのは、実は4月中旬。この頃になると満開だった桜の花びらが雨のたびに散ってゆき、今は元気な葉桜がこれからの暑さを予感させています。ゴールデンウィークになったら日差しが照りつける…なんてせっかちな人間はもう心配しているわけですが、食材は今こそ春の最盛期を迎えています。

 

僕自身魚料理専門店を営業しているので、魚と野菜については敏感に旬を察知するように心がけているのですが、春は旬食材が多すぎて全ては追いきれないのが実情です。

 

魚でいえば、今の旬は真鯛、黒鯛、サヨリ、ホタルイカ、白エビ、メバル、サワラ、バイ貝。

野菜は山菜が旬で、セリ、コゴミ、ウド、フキノトウ、タケノコ、タラの芽、コシアブラ。まだまだその他にも旬食材はあるのですが、ここまで書いただけでなんだかめまいがしそう。

 

そう、こうなるとだんだんこれら全てを「追う」かどうかではなく、次から次に湧いてくる食材達に「追われる」ような気分になってくるのです.…!

全ての春食材の詳細については書ききれないのですが、魚と野菜それぞれの代表的なものについて、魚料理をする立場から解説していこうと思います。

 

魚は、やっぱり魚の王様「真鯛」!日本全国の海域で漁獲され、赤い見た目も非常に縁起がいいということで、日本中の様々なお祝い事(お食い初めからお相撲さんの優勝会見まで)に使われる真鯛。旬は海域によって異なり、一般的には秋から春の間とされています。

 

氷見での旬は春で、4月に入ると漁獲量がグッと上がります。この季節に市場に見学に行くと、真鯛が目いっぱいに入った巨大なタンクを見ることができます。そんなタンク一杯の真鯛がものすごい速さで仕分けられ、富山県内だけでなく豊洲市場などの県外まで次から次に出荷されていく光景はまさに圧巻。たどり着いた先にはどんなお祝いの席が設けられているんだろうか、とふと考えると、その場所で氷見の鯛が一役買っているところまで想像してなんだか無性に嬉しくなるのです。

ちなみに、この季節の鯛は「桜鯛」と呼ばれ親しまれています。頭の先から尻尾の先まで薄ピンク色の体表は、まさに満開の桜を思わせるのが由来だそうで。

 

この桜鯛の特徴は身の食感。一般的に産卵のために栄養を蓄える冬の時期の真鯛のほうが脂は多くしっとりとしているのですが、桜鯛は卵や白子に栄養を与えて身の脂が少ない分もっちりとした食感になります。薄く切ってもその食感は無くならないので、ソースや野菜と共にいただくカルパッチョにピッタリ。今から旬を迎える新玉ねぎのスライスの上に切った桜鯛をのせ、仕上げにお好みのドレッシングや薬味をかければ出来上がり。シンプルながら非常に”映える”お料理になります。

 

桜鯛のカルパッチョなんてキャプション付けて、インスタグラムなんかに載せちゃったらいいねが付くこと間違いなし…かな?

最後に旬の野菜のご紹介。

氷見には農産物直売所が何軒もあり、それぞれに特徴のある品ぞろえをしているので、僕は時々一軒一軒ハシゴしながら好みの野菜を購入しています。

最近はどこの直売所でも山菜の売り場が大きくなっています。僕のお気に入りは、セリ。特徴的な爽やかな香りがする山菜で氷見だと水田のあぜ道や湿地などで見かけます。おひたしや鍋に入れるイメージですが、実は油と相性が良いことから洋風な調理法にもとても合います。ペペロンチーノのパセリの代わりに使ってもいいですし、キノコやエビなどと一緒にアヒージョとしてオリーブオイルで煮込んでも美味しい。

 

僕のおすすめは同じく今が旬の白エビと共にふんわりと揚げるフリット。白エビの香ばしさとセリの独特な香りが食欲をそそります。春の陽気にほだされて、「旬食材のフリットとビールで乾杯!どうせなら天気もいいし海の近くに行かない?」なんて会話ができるのも氷見ならでは。あぁ飲みたくなってきた。

旬に「追われる」生活。

 

なんだか大変そうに聞こえるでしょうが、実は山と海に囲まれた氷見に住んでいるからこそできる、貴重な体験なのかもしれません。

 

これから夏になれば夏野菜とスズキなどの夏魚、秋になれば果物とカマスなどの秋魚、冬になれば根菜と寒ブリなどの冬魚。あ、並べてみると春だけじゃなくて四季を通して追われる立場。何て素晴らしい(恐ろしい?)ことに気づいてしまったんでしょうか。

 

そんな忙しくも豊かな生活を、あなたもぜひ。

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