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2023.10.01

氷見で実践新しい働き方!『リモートワーカー座談会』レポート

藤田智彦
藤田智彦
移住相談員

「リモートワーク」に「テレワーク」。いずれも会社に出勤せず、自宅等で仕事をする働き方を指す言葉ですが、これらは新型コロナウイルスの感染拡大にあわせて社会に広がり、新しいワークスタイルとして社会に定着しようとしています。
働く場所を問わないということは、移住とも相性がよく、リモートワークをきっかけに氷見に移住した人の数も年々増加してきています。

今回は、みらいエンジンのオフィスまちのタマル場を会場に、そんな氷見に移住してきた人を対象としたリモートワーカーの座談会を開催しましたので、その内容をリポートさせていただきます!

こちらの企画は氷見市移住定住推進課の企画によるもので、近年増えつつあり、今後市としてもさらに呼び込みを強化したい「リモートワーカー」について、実践者からリアルな声を聞き、その魅力や可能性、そして氷見市における課題を探り出そうというものです。

今回参加いただいたのは3組の移住者さんたち。
浅井さん、堂故さん、そして吉田さんご夫妻です。

(写真左から浅井さん・堂故さん・吉田さん夫妻・市職員)

まずはそれぞれのプロフィールを簡単にご紹介。
浅井健太さんは2年前に横浜から氷見に移住。都内にある教育サービスの会社に勤めています。子育てをひとつのきっかけに、海のある地域から移住先を探していたところ氷見に出会ったそうです。当初は仕事を辞めることも考えていたとのことですが、リモート勤務で会社に残る選択肢を提案され、移住とリモート勤務の生活がスタートしました。

続いて堂故尚生さん。奥さんが氷見の出身だったことから、6年前に移住してきました。都内の会社にM&Aに関するアドバイザーとして勤めており、コロナ前ではあったものの、物は試しにと氷見への移住を会社に提案したところ承認され、リモートワークをはじめることになったそうです。移住当初は富山市にある支社にデスクがあり、そこに出社してリモートワークしていたそう。しかしコロナの流行を機に、現在はほとんど自宅で仕事をしています。

最後に吉田さんご夫妻
実は奥様・知恵子さんの勤め先は、部門は違いますが堂故さんと同じグループ会社。互いに面識はなかったそうですが、なんとも縁を感じます。
知恵子さんがリモート可の職場であり、旦那さん・和広さんは退職を考えていたことで、移住を考えはじめました。和広さんが元山岳部で山が好きだったこと、二人共通して海が好きだったことから、両方を楽しめる地域を探すなかで富山・氷見が候補になりました。そうして現在は海の近くにお家を購入・リフォームをして、今年5月から氷見暮らしをスタートさせています。

和広さんも、現在は退職されていますが、昨年度までは環境コンサルタントの会社に勤め、世界中の人とリモート会議をするような業務を行っていたとのこと。「リモートワーク」のノウハウをお持ちということで、今回の座談会でもその経験からくるご意見をうかがえればとご夫婦揃って参加いただいています。

以上3組の移住者さんに氷見市職員、そしてみらいエンジンの私・藤田を加えて、いよいよ座談会スタートです。

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まずはそれぞれの勤務形態についてお聞きします。
「リモートワーク」と一言にいっても、具体的にはみなさんどのように仕事をしているのでしょう?

浅井さん:
私の場合、定時はありますが勤務時間はフレキシブルですね。
子どものお迎えがあるときなどは離席して対応しています。
移住・リモートワークによって、子育てはとてもしやすくなりました。まず、通勤時間がないというのがいいです。

堂故さん:
私の場合は一日のどこかで8時間勤務すればよい仕組みです。その点ではかなりフレキシブルですね。6歳と3歳の子どもがいて、保育園の送りは私、迎えは妻がしていることが多いです。夫婦ともに難しいときには義理の母にお世話になっています。

知恵子さん:
私は堂故さんと同じ勤務形態なのですが、業務内にミーティングが多いため、自然と勤務時間が決まってきます。そのため、月曜から金曜まで日中家から出ないことも多いです。そんな生活のため、近所の海辺でランチをするのが生活の楽しみになっています。これは東京ではできませんね。

海が暮らしの側にある氷見ならではの「日常」

なるほど、それぞれの生活に合わせてお仕事できるのは良い点ですね。
逆に、リモートワークのデメリットはなにかありますか?

浅井さん
デメリットというほどのことはありませんが、ミーティング中にお祭りの音が聞こえてきたことがあって(笑)これは氷見のような地域ならではですね。
また、オフィスで働くのと違って雑談がないので、業務連携の効率は落ちるように感じます。作業に集中できる分、作業効率は上がるので、メリット・デメリットの両面があります。私の場合は、移住後完全にリモートで働いていましたが、つい最近はじめて東京に出社しました。
それと朝から晩まで家にいるのは、つらいと感じるときもありますね。通勤時間がないので一切外に出ないんです。意識的に体を動かすようにして、自分で調整していきたいです。

堂故さん:
あくまで主観ですが、「テレワーク」の環境は東京でも地方のどこでも一緒に感じます。東京のマンションで仕事をしていても、氷見で仕事をしていても、リモートワークをする上では差がないのではないでしょうか。
一方で、「テレワーク」か「出社」かの違いはありますね。浅井さんも触れていましたが、出社せず自宅で作業していると雑談から生まれる気づきがないと感じます。これについては両方を織り交ぜていくことがベストではないでしょうか。
そしてこれも浅井さんと同じく、リモートワークをはじめた頃は家にこもりきりというのがつらかったです。出社していた頃は通勤時間で切り替えが行えていましたが、現在の通勤は台所から仕事部屋までの渡り廊下だけで(笑)気持ちの切り替えが難しいです。そのため、無理やり気分転換のために外を走ったりしています。

知恵子さん:
私は現職についた矢先コロナとなり、すぐにリモートに移行したので、それに慣れてしまっています。私のように新しく入ってきている人はみんなリモートでの仕事に慣れてしまっているため、今後戻るのにはかえって抵抗があるのではと感じます。通勤ラッシュなんかもありますしね。
「リモートワーク」のデメリットについては感じていませんが、夫婦だけなので、子どもの送り迎えなどもなく、なおさら外に出るきっかけがないのは課題です。今は運動をライフスタイルに取り入れたいと考えています。

和広さん:
確かに東京にいたときは自宅から駅、そして会社まで徒歩時間が1時間近くありましたが、それが運動になっていました。氷見に来ると食べ物が美味しくて太るばかりなので(笑)運動が課題です。

みなさん自宅でお仕事をされており、外出の機会がないことを課題とされています。もし氷見にコワーキングスペースのような自宅以外の作業環境があれば使ってみたいと考えますか?

知恵子さん:
家庭内だと、それぞれが作業しているときにお互いの音がぶつかると困るので、個室で作業できる場所があれば使いたいですね。ミーティングが多いのでそこは特に感じます。
ただ一方で、情報漏洩がこわいので防音・個室環境はほしいところです。コワーキングスペースによくあるオープンなデスク環境では難しいです。ワーケーションや移住前の滞在で需要はあると思いますが、たとえば夫婦でワーケーションをしようとすると、1部屋借りても同時にリモート会議ができない等問題が生じます。
もっと市内にリモートワークができる仕事場があると、とてもありがたいですね。ミーティングの声が外に漏れないか、離席する際に鍵をかけられるか、画面を覗かれないか…気を使うところは多いですが、もしこれらをクリアした場所があれば、今日集まっているメンバーでリモートワークの会をしてみたいです。

浅井さん・堂故さん:
それはとてもいいですね。

たしかに、オープンな環境でできる仕事は限られてしまいますよね。
そうした点を踏まえて、今後氷見市にリモートワーカーを呼び込むためにはどうしていけばいいと思いますか?

堂故さん:
実際のところ、私の職場でもリモートワーカーはそれほど多くなく、私が最も遠くでリモートワークしており、ついで長野市という状況。都心からの地方分散は思っている以上は進んでいません。
リモートワーク先としての魅力をPRしていくことは大切ですが、万人受けは難しいのでターゲットを絞ることも重要ですね。今ある氷見の魅力を理解してくれる人に、うまくアピールできるといいと思います。たとえば空き家を改装して滞在と作業ができる施設をつくるような。新しいものをつくるのは大変なので、既存のものを活かす方向性がいいと思います。
また、企業側に営業をかけるのもいいのではないかと思います。会社側はリモートを推奨しているところも多いですし、社員に提案しやすい材料をもって営業すれば効果があるかもしれません。

知恵子さん:
リモートワークがそれほど多くないというのは私の部門も同様です。地方に家を買ったという話もありますが、二拠点居住というタイプの人が多い印象があります。

そうなのですね。こちらにいらっしゃるみなさんの勤め先はリモートワークが進んでいる印象があったので意外な印象です。
それでは、移住まではいかなくても、いわゆる「ワーケーション」はいかがでしょう?

知恵子さん:
それもあまりいませんね。
会社としては推奨していて、宿やワークスペースの紹介をして、環境を変えて仕事をしましょうと提案しています。それでも、利用者は少ない印象です。

和広さん:
やはりリモートワークできる環境、機密性を担保している場所が少ないのではないでしょうか。ワークスペースのPRが「景色がいい」ということに偏っているので、そのあたりを押さえた売り出し方は有効であるように感じます。

浅井さん:
都内にも「勉強スペース」のような、モニターやプリンターのある施設がありますが、そのようなものがあると仕事が効率的に進みますね。
またレンタカーの手配も重要です。氷見市内にはレンタカーを借りれる場所がなく、高岡に行く必要がある。モビリティへの配慮も必要です。
そして和広さんのご指摘の通り、セキュリティがしっかりしているというアピールがあれば、会社にも説明しやすいという点でも良いと思います。
移住者としても、そのようなワークスペースがあれば、気分転換で週に何度か利用したいですね。

知恵子さん:
それで、景色がいいとなおいいです。

堂故さん:
個人的には景色がいい場所で緊張感のある仕事をしていると調子が狂ってしまう感覚があります。綺麗な海や、小川、田園風景を見ながら、気の抜けない仕事をしているとアンバランスなので、「ワーケーション」というのは難しく感じます。私なら、ワークとバケーションは分けて、遊ぶなら遊びたいです。

なるほど、いわれてみるとその感覚もわかります。

素敵すぎるロケーションは、リフレッシュの作業には良くても本気の「ビジネス」には不向きかも…?

堂故さん:
それと、潜在的な移住者に訴えかけるものとして、地域の方との交流、地域のプロジェクトに参加できるようなものがあるといいきっかけになります。

知恵子さん:
人との繋がりは大切で、かつ新たに築こうとすると難しいものですよね。地方は車社会ということもあり、こちらからアクションしないと、想像していた以上に交流の場が少ないように感じています。

堂故さん:
私はプロボノとして、氷見駅前の「ひみりべ。」法人化に関わっているのですが、移住して4年を過ぎた頃から、氷見での知り合いを増やしたいと思うようになり、商工会青年部にも所属し、活動に力を入れるようになりました。会社としては複業禁止なので、ボランティアという形で英語を教えたりもしています。

たしかに、地方移住というと都会よりも濃いコミュニティ・コミュニケーションを想像されることも多いですが、実際に暮らしてみると思っていたよりさっぱりしているということはあるかもしれませんね。
受け入れる側としては、移住者やワーケーション利用者が自然と地域の人と交流できるような機会を提供することが重要になりそうです。

…と、たくさん参考になるご意見が出て、場も盛り上がってきたところですが、残念ながらここで閉会のお時間となりました。
みなさま、貴重なお話をありがとうございました!

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さて、今回は「リモートワーカー座談会」の様子をお伝えしましたが、いかがでしたでしょうか。
氷見ではじまっている新しいワークスタイルについて、少しでも参考になる部分がありましたら幸いです。

そしてみらいエンジンとしても、現在リモートワーカーなど、しごとをきっかけとした移住を促進していくために支援策を準備しているところだったため、とても勉強になりました。

氷見で移住先探し&リモートワークを支援する制度がはじまります!

特に、「セキュリティを意識したワークスペース」と「意外と不足しがちな地域交流」、そして「人との繋がりを得られる機会の提供」については、その重要性を強く実感できましたので、今後の取り組みにぜひ取り入れていきたいと思います。

参加者のみなさんにも、今回の座談会について「同じような境遇で仕事をする仲間が氷見にいることがわかった」とのお言葉をいただけ、嬉しい限りでした。会の終わりにはみなさんで連絡先の交換を行っていましたが、これこそまさに「交流の機会」。みらいエンジンとしても、このような場さらに増やしていきたいと思います!

これを読んで氷見でのリモートワークに興味を持ってくださった方は、ぜひ一度みらいエンジンにご連絡ください。
どのような形で、氷見でのしごとを実現できるか、一緒に考えていきましょう!

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