自分の住んでいるまちが昔はどういう姿だったのか、みなさん知っていますか?
この道は昔から残る道、こっちは新しい道、いつも前を通るあの建物は昔の米蔵、川沿いのここは漁業で獲れた魚の上げ場だった、、、。
普段の生活の中では気づきにくいですが、昔のまちの痕跡は実は結構残っているんです。
博物館学の芸員さんのガイドと共に氷見市街地を歩きながら、過去の風景を想像できる「むかしの氷見をあるく」。氷見市立博物館さんが企画されたイベントで、江戸時代編、室町・戦国時代編、古墳時代編、縄文・弥生時代編の4回のコースに別れています。
今回は江戸時代編に参加して、まちの昔の姿を教えてもらいました!
朝9時30分、集合場所の氷見市立博物館へ。この日の案内役は学芸員の小境さん。氷見市には小境という地名があって、自己紹介だけで勝手に氷見の歴史講座っぽさを感じてます。
実際にまちを歩く前にまずは座学から。博物館内で、江戸時代に描かれた絵や地図を見ながら現在までの成り立ちを大まかに説明していただきます。
「江戸の地図でいうとここ、今は商店街の〇〇屋さんのところですね」と地元の人ならすぐにピンとくる説明で、当時“まち”として成立していた南10町北6町について、氷見市街地の成り立ちで欠かせない「昭和13年の大火」についてなどを教えていただきました。
実は私、学生の頃は歴史が一番苦手で今回のイベントも話についていけるか心配だったんです。ですが小境さんの軽快で分かりやすい話し口に、歴史というより物語を聞いている感じになり、早くまちを歩きたい!とワクワクしていました。
地図で当時の様子を見た後は、実際にまちを歩きに行きます!
この日は歴史好きそうな男の子とお母さん、お一人で参加されているお姉さん、地元のおじさんおばさんなど10名ほどが参加していました。
まずは大事な、まちを歩く時のコツ。「資料に即して、想像力を膨らませる」当時はどんな様子だったのか、好きに妄想するのではなく資料に即して、そして持ち得る限りの想像力を使って、まちを歩きましょう!
まち歩き出発地点の博物館裏口、川に向かって少しだけ下り坂になっていたんですが、この坂は当時ここに建っていた家の大きな米倉へ荷物を運ぶため。目の前を流れる湊川の川幅はもっと広く、現在の川沿いの道路にも水が流れていた。そして川向こうに見える、最近では「みなと川蚤の市」に使われている木造建物は銀行の米倉として使用されていた。などなど、まだ歩き出していないのに面白い話が次から次へと!お話いただいた内容を書き出すときりがない!
川沿いにたくさんの木が植えられている理由、お寺や神社にイチョウの木が植えられている理由、道が川に向かって下り坂になっている理由、と歩きながらも話が止まりません。
参加者からの質問にも丁寧にお答えくださり、1つ質問しただけで10も100も話が出てきていました。学芸員さんの知識量すごい。
受付時に配られた昔の地図と見比べながら昔の姿、現在の姿へ変わった経緯、その痕跡を見ていきます。
昔のまちの姿を垣間見えるスポットのひとつ、暗渠。普段から見ている景色のはずですが、「暗渠がここにあるよ」と教わって初めて視界に入ったような感覚でした。日常の中で見ているつもりでも、意外と見えていないものですね。ちなみに上記写真の暗渠は、店名が読めない美味しいラーメン屋さんの前にあります(氷見ファンの方ならわかるはず!)。
ずいずいっと歩いて海の方へ。写真に写っていませんが左手にはBREWMINさん、そして魚取神社があります。各町にある魚取神社、通常は海を向くように建てられるそうですが、何故かここの魚取神社だけ川を向いています。理由はいまだに不明らしく、なんでだろう〜〜と想像が膨らみます。
先に進んで細い路地へ。大通りと違ってグネグネと細い道が続きます。この辺りは昭和13年にあった大火の被害から免れたエリア。氷見市街地の多くは大火で焼け落ち、その後、復興のために区画整理が行われて現在の姿となりました。車が通ることを想定しない細い道、火事拡大防止のための風通りが悪いクランクだらけの道、道沿いにある年季を感じる木造の住宅など、当時のまちの姿を残す貴重なエリアです。
海へ出ると、昔の漁業で獲れた魚の上げ場へ。今でも定置網漁が盛んな氷見ですが、当時はそれまでよりも大きな定置網での漁が始まったことでイワシの漁獲量が格段に上がり、イワシを肥料とする畑等が豊かになり、また、魚の上げ場周辺は魚加工工場で賑わっていたそうです。
まちが変容する背景には、道具の発達や物流の変化など様々な要因が絡み合っているんですね。おもしろい!
その後は中央町商店街を通って…
博物館へ帰ってきました。1時間半ほどのまち歩き、話を聞くのに夢中であっという間に終わってしまいました。
最後は、まちで実際に使われていた品(普段は非公開のもの!)を見せていただきながら、江戸時代の火事消火方法について教わって、「むかしの氷見をあるく、江戸時代編」は終了しました。
普段通っている何気ない道一本にも、背景には行政による区画整理があり、更には区画整理のきっかけとなった大火、大火の出火元であり当時増えていた履物屋、履物屋が流行した理由…と、現在の姿となった経緯を知れば知るほど、自分がまちへ深く浸透できたような気がしました。
過去から現在へのルーツを知れば、まちがこれからどういう風に変わっていくのか見えてくるかもしれません。
2018年の「むかしの氷見を歩く」は、今回の江戸時代編に続いて室町・戦国時代編、古墳時代編、縄文・弥生時代編と続いていきます。
少しでも気になるという方はぜひ参加してみてはいかがでしょうか?学芸員さんの底なしの知識に圧倒されること間違いなしですよ!
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氷見市立博物館イベント
「むかしの氷見をあるく ~氷見まちなか歴史探訪~」
第1回 江戸時代編
平成30年 9月15日(土)9:30~12:00 (終了)
第2回 室町・戦国時代編
平成30年 9月29日(土)9:30~12:00
第3回 古墳時代編
平成30年10月13日(土)9:30~12:00
第4回 縄文・弥生時代編
平成30年11月17日(土)9:30~12:00
詳細・参加希望は氷見市立博物館さんまで。
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