私がこの街に始めてきたのは2020年の春でした。今となっては、街の中心部には『考えるパンKOPPE』や『スープはやし』、岸田木材の『ヒミブリコラボ』や地物を活かした『サカナとサウナ』など新しい店舗が続々と増えていますが、当時は往年の老舗が軒を連ねるという印象でした。
それから3年がたち、いろいろな方からお話を聞くと氷見にいくつもの変化があることがわかりました。その中でもまずお伝えしたいのが“氷見への入り口”の増加です。
(サムネイル画像 左上:きたのはしマルシェ 左下:商店街の一部 右:手作りの見本 中央町よしだや)
ここでいう入り口とは、初めてそこへ来た人でも気軽にお店の人と会話ができる場所であり、また街についても教えてくれるような場所です。そしてそういった場所が増えていると感じます。例えば『スープはやし』は外からカウンター越しに注文ができ、テイクアウトやお店の前のスペースでイートインもできますし、明るい店主と気軽にお話ができます。それは街中の『考えるパンKOPPE』や近々今の場所から改めて氷見市内に移転する予定の『サカナとサウナ』も同様です。
(左上:氷見の田園風景 左下:考えるパンKOPPE 右:氷見の小道)
もちろん今回の滞在中に記事にもさせていただいた『マリベール』はじめ、これまでにあったお店でも同じように会話を楽しんだり、情報を手に入れることはできます。近年はそれらに加え、これまでとは異なる年代や属性の方がお店をされているという点で今までとは違う入り口が増え、よりいろんな人にこの街を楽しんでもらえるように氷見全体の間口が広がりつつあるのではないかと感じます。
(左上:『サカナとサウナ』のサンドウィッチ 左下:『こむぎ』のパン 右:氷見いわし)
さらに最近できつつあるお店は、この街を自ら選んで訪れた方が多いため、これまでにはなかった思いがけないつながりを街に生み出しています。
それは例えば氷見に移住をされた『考えるパンKOPPE』がお店を作る時にあえて地元の『岸田木材』に依頼をしたそう。このことを皮切りに商店街に岸田木材のお店『ヒミブリコラボ』ができ、さらに家具職人さんが街に移ってくるなどの偶然の連鎖と異色のコラボが生まれているのです。
(左上:新しく建つ予定のこども園 左下:岸田木材の商店街のお店 右:マルシェのお店)
もう少しだけ加えると、その家具屋さんは近くのスープはやしの常連さんだったとか。スープはやしさんは他にも最近富山大学の学生さんとのコラボで、氷見の上庄川にかかる大きな歩道のある北の橋付近で『きたのはしマルシェ』をしたり、湊川沿いの倉庫の空間を利用して街ににぎわいを作っています。
マルシェには氷見に移住された農家さんや近くの商店の出店、さらには富山大学の学生さんや県出身の作家さんの作品販売や展示などが行われ、新たな人とのつながりや気づきにあふれた“きっかけの場”になっていました。さらに参加者の一部のアーティストさんのポップアップが『スープはやし』で3月後半に開かれるというその先まである模様。
(左上:ヒラクの灯 左下:きたのはしマルシェ 右:氷見温泉(お休み中)
そんなこんなで、前回来たときよりも一歩ずつ氷見は変わり続けている様子が今回の滞在では見えてきました。実は今回紹介しきれなかったのですが、他にも氷見での滞在の選択肢も増えていたり、街に暮らす人がそれぞれに商店街やその周りのお店を紹介する冊子を作成されていたりと変化の知らせは尽きません。
最後にその冊子についてだけお話します。今日も街を歩く方々はいろいろなマップを持っていました。その街歩きのお供として私的におすすめなのが、『氷見伏木信用金庫』が作成した『まちなかランチ』(こちらは銀行HPでも手に入ります)という冊子と氷見の方が作られて、200円で売られている『Himitsuclub』(スープはやしなどで購入可)です。どちらも氷見の人が自分の暮らす街にあるお店、居る人に目を向けた地元愛が溢れる冊子です。
―あとがきー
ここまで氷見の街の変化を書いてきましたが、氷見にあるモノやヒト、気質といった根っこは変わらないように感じます。しかし一方でこの街にあるものが、氷見に暮らす人の手やそれぞれの興味関心などを発端に、結果的に編集されてまた一段と面白くなったように感じます。佐賀の嬉野でも同じように宿とお茶農家さんが結びついて、面白い結果を生み出していたのを氷見にきて思い出しました。お忙しい中貴重な時間をいただきまして、皆様本当にありがとうございました。またきっと遊びにきます。 後藤幸樹