※こちらの記事は「ひみ知っ得ナビ」からの転載記事です。
富山湾に面し、豊かな自然と人情が息づく氷見市。
都会の喧騒を離れ、海と山に囲まれたこの地で、家族との時間を大切にしながら、自分らしく輝く女性がいます。
加美 晴香さん。3人のお子さんを育てるワーキングマザーです。
陽だまりのようにあたたかく、柔らかな笑顔と、穏やかな口調が印象的な晴香さん。
その肩書きは「デザイナー」「コワーキングスペース経営」と、多忙な日々を想像させますが、彼女の周りにはゆったりとした、心地よい空気が流れています。
今回は、そんな彼女の氷見への移住・子育て、そしてご夫婦で手に入れた新しい日常、さらにこれから描く未来設計についてお話を伺いました。
海の見える街、氷見の環境に惹かれて移住
海沿いでの暮らしに憧れて
富山県出身の彼女と、石川県出身のご主人。ご夫婦が氷見市への移住を決めたのは5年前、ご主人の転職がきっかけでした。
「もともと、お互いの実家にも近いエリアで、子どもたちをのびのびと育てられる場所を探していました。」

「最終的に2つの場所で迷ったのですが、夫と『海沿いの暮らしって良いよね』と意見が合い、氷見を選びました。」
移住後は、家族で過ごす時間を大切にできるように
氷見市への移住に伴い、ご主人が転職されたことをきっかけに、家族の生活は大きく変わりました。
以前はご主人の深夜残業や休日出勤が多く、晴香さんはワンオペ育児が続いて孤独を感じることも多かったそうですが、今は定時に帰れる日が増え、家族揃って過ごす時間が増えました。

「夫婦で子育ての悩みを分かち合えるようになったのは、私たち家族にとって本当に大きな変化です。」
氷見のリアルな暮らし【子育て編】
子育てしやすい街・氷見
氷見へ移住後、ご夫婦の間に次男となる3番目のお子さまが誕生しました。
「氷見では思ったより同世代のお母さんに出会う機会も多いです。また、氷見市には産婦人科があり、安心して出産に臨めたのも心強かったです。」
氷見市は子育て支援も充実していて、不安なく毎日を過ごせていると言います。
豊かな自然とおおらかな氷見の人たちに助けられて
また、取材をした2025年は記録に残る猛暑でした。
「今年の夏のように暑いと、どうしても家で動画ばかり見てしまい、インドアになりがちで。親としては、身体を使って同世代の友達と自然の中で過ごす機会を大切にしてあげたかったんです。」
「最近始めたボーイスカウトでは定期的に屋外活動に参加できるので、地域の子どもたちと外遊びを楽しむことができて、とても有意義な時間になっています。親だけではなかなか用意できない体験を、氷見の豊かな環境と地域の方の協力を得て叶えることができて、本当に嬉しいですね。」
さらに、氷見の人はみんなおおらかで、先生たちの教育方針も同様にゆったりとしていると言います。
「長男と長女が通った保育園は、少人数保育で厳しい決まり事が少なく、個人を尊重してくれて、のびのびと過ごすことができました。これまで様々な土地で暮らしてきましたが、氷見の人はみんなおおらかです。親がせかせかしないで、ゆったりと子育てができるのが、氷見で子育てをする最大の魅力かもしれません。」
一方で、
「次男が通っている園は、園児も先生も多いですが、先生一人当たりの担当人数が少なく、丁寧に関わってもらえています。とても活気のある園ですね。先生たちはみなさんニコニコと明るくて優しい方ばかりです。」
活気あふれる大規模な園から、個を尊重する少人数保育の園まで、氷見にはそれぞれの親の考え方に合わせて多様な教育の選択肢があることも、子育て世代にとって大きな魅力ではないでしょうか。
ひとりで抱えず、思い切って外の世界と交わるのが大切
在宅ワークでもモチベーションを保つためのスペース作り
現在、彼女は3人のお子さまの育児をしながら、自宅でデザイン業を営んでいます。
在宅ワークの課題である「一人作業の孤独感」を解決しながら、お互いを高め合える仲間をつくりたいと、自宅の一部を開放したコワーキングスペースの運営を始めました。
「コワーキングスペースは、単に仕事をする場所というだけではありません。」

「同じ家の中で異なる作業をして、煮詰まったり悩んだりしたときにお互いの悩みを分かち合い、高め合うのが目的です。私のように在宅で仕事をする人が、人との関わりを深めながら仕事を進めるための場なんです。」
積極的に人と関わり、新しい人間関係を構築
また、晴香さんは氷見商工会議所の女性会に所属したことで、自宅でひとり作業をしていた頃は関わることのなかった経営者の先輩方や、『氷見を盛り上げていこう』と活動している人たちに出会う機会が増えました。
「子育ても、仕事も、人と関わりを深めながら進めていきたい。ひたすら家に籠もって作業をし続けるのは性に合わないようです。」

「氷見に来てからたくさんの出会いがあり、刺激をもらえる毎日です。少しずつですが、すべてが良い方向に向かっていると思います。」
一目惚れした「氷見らしさ漂う大きな家」に住みながら働く
氷見ならではのしつらえが残る家
加美家の住居兼コワーキングスペースは、元々ミシン屋さんを営んでいたという築50年の中古の家です。漁で使う大きなガラス玉が軒先に飾られていたりと、氷見ならではのしつらえが残る家です。
程よい距離を保ちながら作業が可能
ここには大型プリンターなどの設備も揃えており、部屋も複数あるため、つかず離れずの距離を保ちながら作業が可能です。ミーティングが行える談話室も用意しています。

また、展示販売スペースには木製のインテリア雑貨が並んでいます。これは元々木工の仕事をしていたご主人が加工した製品に、彼女が絵をつけたものです。

「このような父と母の姿を見て、長女が『自分の作った工作も並べたい』と言い出して、今は一緒に並べています。また、長女は絵を描くのが好きなのですが、一緒に描くと私自身も刺激をもらえます。」
可能性あふれるこの家で
この大きな家と広い庭には尽きることのない可能性があると言います。
「この庭の片隅では、不動明王様が家を見守ってくれています。池の睡蓮の花は元々あったもので、5月から10月頃まで花が咲きます。とてもきれいですよ。あと、前に住まれていた方が残していった家具も一つひとつ大切にリペアして使っています。どれもお気に入りです。」

2024年に起きた能登半島地震の際には、小規模な被害はあったものの、幸いにも大きな損壊を免れました。地震に耐えてくれたこの家を、これからさらに大切に、感謝の気持ちをもって使い続けていきたいと考えています。
伝統の糸を継ぎ、未来の文化を仕立てる
この家がミシンを扱う店舗兼住宅だったことは、先ほど紹介しましたが、晴香さんはその歴史に倣い、この家を「氷見の文化を仕立てる創造的なアトリエ」として進化させていきたいのだそうです。

古き良き氷見の文化という「伝統の糸」を大切に継ぎ、新しく氷見に加わった人間として、外部の新しい要素や感性をデザインとして加え、「未来の氷見」を氷見に住む人たちと共に仕立てていくことを目指して。
この場所が、単なる家族の住まいではなく、仕事、趣味、そして地域の人々が自然と集まり、互いに高め合う「開かれたアトリエ」としての役割を担うことを願っています。
この「開かれたアトリエ」をみんなで創っていきたい
いま、晴香さんは氷見市内に住む先生から茶道を習い、同じ先生から着付けもトータルで学んでいます。
「いつか家の囲炉裏を囲んでお茶会を開きたいですね。氷見での暮らしや氷見の文化に興味がある人や、コワーキングスペースの利用者さんなど、様々な人が交流できる場を作りたいんです。」

そして、今後の目標は、この愛着ある家と庭をさらにバージョンアップすることです。
「家のリノベーションを進めたいんです。壁を塗り直したり、天井のクロスを張り替えたり。元々のこの家の良さを残しながら直して、人がたくさん集う場所を創りたいです!」

インタビューを通して、晴香さんの未来への想いが温かく伝わってきました。晴香さんは今、氷見の文化という「布」に、ご自身の持つ「新しい感性という糸」を丁寧に通し、未来への一針を刻んでいます。
この「開かれたアトリエ」にさまざまな人々が集い、互いの良さを高め合う、氷見の新しい文化の出発点となることを心から願っています。お話を聞かせていただき、ありがとうございました!
コハル堂
〒935-0047 富山県氷見市上久津呂1923-1
WRITERこの記事の投稿者
izumix
富山市在住の1児のママです。氷見の美味しいグルメと自然を求めてよく遊びに来ています。大人もこどもも一緒に楽しめる情報をお届けします。



