※こちらの記事は「ひみ知っ得ナビ」からの転載記事です。
富山県氷見市の海沿い近くに「Y’s neo(ワイズネオ)」というピラティススタジオがあります。
今回の移住者インタビューは、そんなピラティススタジオで、インストラクターとして活動されている瀬戸裕子さんに取材しました。
瀬戸さんは、長崎県の五島列島のご出身。
実業団のマラソン選手として富山県に就職し、結婚を機に氷見市に移住して約20年になります。
「地方の環境を理由に、諦めることを1つでもなくしたい」
そう語る瀬戸さんに、氷見市に移住してからの暮らしや働く思いについて、伺いました。
海を身近に感じる場所を求めて
瀬戸さんが氷見市にご自身のスタジオをオープンされて、約6ヶ月になります。
それまでは、富山県内や氷見市内を転々と引越しされてきたそうですが、海から離れた場所だったこともあり、実は海を身近に感じる機会は少なかったそうです。
「私は五島列島の出身なので、毎日帰り道に海を見ながら育ってきたんですよ。だから起業するとなったら、氷見の魅力の一つでもある『海』は、やっぱり外せなかった。」と言います。
お客さんにも海沿いの道をドライブしながら気持ちよく来てもらえるようにと、海の美しい景色を身近に感じられるこの場所を頑張って探されたそうです。
氷見への移住の始まり
故郷の島から愛知県の大学へ陸上競技で進学し、卒業後は駅伝の実業団選手として富山県へ。
ところが、バブル経済が崩壊したあおりを受けて、なんと入社わずか半年で陸上部が解散となってしまったそうです。
「2000年国体までは富山にいられると思っていたのに『えーー!』って(笑)。それで一度は名古屋に帰り、別の仕事に就いたんですが、やっぱりまだ走りたいという思いがあって。そしたら1人くらいなら走らせてあげられるからとご縁を頂けて、再び富山に戻ってきたんです。その後、結婚を機に主人の地元である氷見で暮らすことになりました。」
「カルチャーショック」から「氷見推し」へ
氷見に移住した当初は、地域に根付く文化に驚くことが多かったそうです。
結婚後の地域のお祭りでは、近所の人達が集まるなか夫婦で着物を着て並び、家の中を獅子舞が舞って祝福される「嫁ばな」を経験しました。
「二回目の結婚式かと思うほど、もうビックリしちゃって。」とカルチャーショックを受けたそうです。
「でも、職場や地元で氷見の人たちと関わっていくうちに、故郷の島と雰囲気が似ているなと思えてきて、馴染んでいきましたね。温かくて、何かあれば助けてくれる。海も山もあって魚も肉も美味しい。今では私、「氷見推しです(笑)」と、笑って振り返ってくださいました。
「無いから諦める」という地方の環境の壁をなくしたい
「無いから諦める」から「無いなら、作る」へ
瀬戸さんが氷見で働く思いの根底に、ご自身の学生時代に経験した思いがあります。
それは、氷見の子供たちを取り巻く環境が、島で育ったご自身の環境と似ていると感じたことから始まりました。
「スポーツで全国大会に行くと、都会で最新の指導を受けている人たちと、地方でそれを受けられない人たちとの間に『環境の壁』はやっぱりあるなって感じてきました。島育ちの私が味わってきた問題に、やっぱり氷見の子たちもぶつかっていくんです。それを見てきて、その解決に繋がるようなことをしたいなと思ったんです。」
スキルがあっても、環境によって生じる差を少しでもなくしたいと、瀬戸さんは子供が本格的にスポーツを始める前に、まずは全体的な運動能力を上げるための幼児の体育教室を探します。ところが、、、
「氷見に無かったんです。やっぱり無いんか、、って。でも無いなら、体育大卒だし、教員免許もあるし、私がやろう!」と、自ら幼児体育指導者の資格を取得します。
その後、幼少期の関わりだけでなく、遠征などで体のコンディショニングができるようにと探すなかで「ピラティス」に出会います。
これは自分の体にもいいと感じ、月1回、1年がかりで東京に通い、ピラティスの指導者資格を取得しました。
そして、最初は高岡市内のカルチャースクールで、午前中はピラティス、午後からは幼児体育の教室をスタートしました。
「氷見でできる」道をつくりたい
カルチャースクールで教えるうちに、さまざまな年代や、いろんな症状の人がいるのに、この環境だと時間も内容も大勢の人に向けた平均的なトレーニングしかできないと感じた瀬戸さんは、「もっと一人ひとりのいろんな症状に、幅広く対応している都会のピラティスと同じような形で受けてもらいたい。」と思い、ご自身でピラティススタジオを開業することを決意します。
集客を考えて人口が多い市や、交通の便が良い場所を選ぶ人が多いなか、氷見で開業した理由をたずねると、
「周りからも散々、『なんで氷見なの』と言われました(笑)。でも、私のテーマがやっぱり『環境の壁』をなくすことだったから。」と言います。
「無いところでやってこそ意味があると思ったんです。氷見の人は、どこかに通うのに市外へ出ないといけないことが多いんです。でも、氷見にあれば通える人がいるかもしれない。『氷見はこういう環境だからありません、だからできません』っていうものを1つだけでも無くしたかったんです。」
そんな瀬戸さんは、学生時代はずっとソフトテニスに打ち込んでいました。しかし、頑張った先にプロへの道が繋がっていないと気づき、今からでも間に合うのはマラソンしかないと、大学から始め、実業団の選手になりました。そんな経験から「探せばどこかに道があるんじゃないかって何とか道を切り開いてきたから、環境が理由で諦めるのはもったいないなって思うんです。『無いから諦める』じゃなくて、『諦めなくても大丈夫、ここにあるから出来るよ』って言ってあげたかったんです。そして、私ができるのはピラティスだから、それを氷見で提供したかったんです。」と話されました。
氷見で元気に暮らせるように「ピラティスで体を整えて、心にゆとりを」
ピラティスは、もともと「世界平和のために」つくられたものだそうです。
「体の調子が悪いと、心に余裕が持てず、家族や周囲の人に優しくなれないことがありますよね。なんだかうまくいかない時って、だいたい体のどこかに調子の悪いところがあったりするんですよ。 例えば、頭が痛い時に「話を聞いて」って言われても、聞けなかったりしませんか。ピラティスで不調が改善されると、ポジティブにもなり、心にも余裕が生まれます。 そうすると人に優しくなれて、そんな人が増えたら平和ですよね。私がこの場所でピラティスをすることで、氷見に元気で平和に暮らせる人が増えるなら、それはちょっとした貢献かなって思うんです。」
また、瀬戸さんのピラティスは、月謝制ではなく都度払いでも通えます。それは、特に子育て世代の方などが、子供の風邪などで結局は通えなくなり挫折してしまうのを見てきて、「時間ができた時」「氷見に来たついで」に通えて、1度でも体験しやすいようにしているそうです。
「『氷見なら自分の好きな時を選んで行けるらしいよ!氷見っていいやん!』って言ってもらえたら嬉しい。」と、話されました。
移住を考えている方へ「意外とある、地方の魅力を知ってほしい」
最後に、移住を考えている方へメッセージを伺うと、
「氷見は都会のような大型チェーン店は少ないけれど、そのかわりに個人事業主が専門性をもってやっているお店が意外と充実しているんですよ。トレーニングに関してだけでも、医療機関の専門知識を活かしたメディカルジムや、本格的なマシーンを揃えて鍛えられるジム、女性向けのヨガスタジオなどがあり、『地方は選択肢がない』って思われがちですが、意外とあるよ(笑)!って知ってもらいたい。」と言います。
そんな瀬戸さんご自身が、地方でできる選択肢を1つでも増やそうと氷見で起業した1人。
スタジオ名の「Y’s neo」には、「生まれ変わる」「再生」という意味があり、「ピラティスで体と心を整えることで、今よりもう一歩、やりたいことに手が届く元気な自分になって帰ってほしい」という瀬戸さんの願いが込められています。
「氷見には、ここがあるから、みんなと元気に楽しく歳を重ねて暮らしていけますよって、伝えたいですね。」と笑顔で語って下さいました。
【体験記】ピラティスに初挑戦!
今回は、実際にピラティスも体験させて頂きました!
トレーニングというと、体を鍛えるというイメージがありましたが、瀬戸さん曰く、ピラティスは「赤ちゃんが生まれた時からやる動きを辿っていく『動き方の再教育』で、骨や筋肉を正しい位置に戻していく運動」とのこと。
まず、呼吸を整えることからスタート。
鼻から息を吸って、口から長く吐き出し、背骨が上下に伸びるイメージで立ち、前かがみになって背中をほぐすことから始めます。
「体の謎解き」気づきと意識を大切に
次に、マットに移動して仰向けになります。 体をまっすぐにして仰向けになる、そんな簡単にみえることが意外と難しい。
自分ではまっすぐのつもりでも、長年の癖や習慣によって体のバランスに偏りがでています。瀬戸さんは、それに「気づく」ことが大切だと言います。
そして、瀬戸さんのサポートを受けて動きながら「その原因がどこからくるのか?」を、会話を交えて一緒に探っていきます。
瀬戸さんはこのプロセスを「体の謎解き」のように感じるそうです。
今回、私は骨盤の歪みを正しい位置に戻すトレーニングメニューをしてもらうことになりました。
話していくうちに、確かにいつも右足を組む癖があると気づき、右肩や右膝など、右側ばかりに不調が出やすいことが、骨盤の歪みからきていたのか~と納得できて、まるで謎が解けたかのように「なるほど〜!」と実感できました。
自分の動きで自分の体を整える
ピラティスのマシンはダンベルではなく、重さを調整できるバネがついています。バネの力を借りながら、屈伸運動を行いました。
回数や速度で負荷を与えるのではなく、ゆっくりと丁寧に、頭から足の指までの体のパーツ1つ1つの位置、力のいれ具合を「意識」しながら、自分の動きで自分の体を整えていきます。
部活やスポーツ、健康のための運動も、土台となる体が整っていないと、かえって怪我や体を壊す原因になることもあります。ピラティスを併用して取り入れることで、運動の成果をより高めることに繋がるそうです。
そして、10代から80代まで、年代を問わずに一緒に取り組めるトレーニングだというのもピラティスならではの魅力です。
心も体も軽く。氷見の海とピラティスで、元気をチャージ!
トレーニングが終わった後は、背骨を上下左右の全方位に動かして硬くなっていた筋肉が伸びたおかげで、体がスッキリと軽い!
重心がしっかりと中心に戻ったせいか、かかとがしっかりと床についている感覚がしました。
体が整うと、不思議と気分まで軽くなります。 「せっかくだから寄り道して帰ろう」という気力がわいてきて、氷見で美味しいランチを堪能してから帰宅しました。
ちょっと時間ができた時は、ぜひ氷見へ。
海の景色とピラティスが、心と体を心地よく整えてくれます。
「もう1つやりたいことにトライできる」そんな活力がわく、充実した1日になりますように。
ピラティススタジオ Y’s neo
〒935-0024 富山県氷見市窪2659

WRITERこの記事の投稿者
萩野富美子(ハギトミ)
氷見で働く人の大切にしているこだわりや想いを届けたい。気軽に、気楽によめる文章を心がけています












