こんにちは。岩田です。
9月に入り、氷見の暑さも和らぎ、時には肌寒く感じる日があります。そろそろ羽織物が必要な季節になってきました。
魚で有名な氷見ですが、弊社のオフィス(タマル場)は、そんな美味しい魚たちが市場へと出回る玄関口、氷見漁港の目の前にあります。とは言うものの、水揚場は漁港の中でも海寄りにあるため水揚げやセリの様子は日常目にすることはありません。そこで、漁港全体の様子、とくにセリの見学してきました。
まだ漁港は薄暗く、早朝の海ならでの静けさが感じられます。セリは奥に見える建物の中でしているため、まだまだこの場所からでは市場の活気は感じられません。
ところが、一歩建物内にに踏み入れると、
こんなにも多くの人が!!疑っている方もいるかもしれませんが、二枚の写真とも同じ日の早朝です。氷見では漁業に従事している人が多いことが改めて実感できる光景です。初めて見る市場の光景ですが、魚を水揚げされる様子、魚の種類を選別している様子、セリをしている様子と、「魚」という氷見最大の資源を通して様々なストーリーが見えてきます。
この写真は水揚げされたばかりの魚を数人で選別している様子です。台の上に広げられた魚や桶一杯に入った魚を見ると漁業というものの迫力が感じられます。選別が終わったらばその近辺に人だかりが集まり、セリ人と呼ばれる人を囲み、セリが始まります。
私たちの食卓にお魚が並ぶまでの流れを簡単に説明すると、
漁師さん(生産者) → 氷見漁協 ※セリ人 → 卸売業者(魚問屋) → 小売業者(魚屋) → 消費者(私たち) となります。魚問屋さんはさらに市外や県外へ卸したりもしています。
これは本日水揚げされる予定の魚がどんなものかを記した黒板。日本語だけど略語だったり、知らない言葉が多すぎてイマイチ理解できませんね。
ここで登場、タマル場のお得意様「加野鮮魚店」さん。黒板の意味を簡単に教えて頂きました。
一番上に書かれた「佐大」や「岸大」などは定置網(生産者)の略称のこと。その下に書かれた「青子(コズクラ)」、「サバ」等、魚の名前はその定置網にかかっている主要な魚の種類です。
その下には「21」、「4」等の数字の単位は「貫(≒3.7kg)」です。つまり「21貫」だったら「約77.7kg」になります。「400メ」と書かれているところはつまり「400貫目」ということで、「約1480kg」となります。現在でも昔の単位を使っているんですね!県外へ出荷される際には誰しもが知っている、t(トン)やkg(キログラム)に変換されます。
これが昔の計り、棒計りです。片方に重り、もう片方に品物を吊し使います。棒には目盛りが書いてあり、釣り合った時の重りの位置で計ります。この単位が「貫」になります。
話が横道に逸れましたが、あの黒板を見て、小売業者は買いたい魚がかかった網の水揚げを待ち、セリに参加します。つまり、どこに行けば目当ての魚が買えるのかが書かれた案内板なのです。
生産者の欄に「白鳥」と書かれているのはわかりますか?これは能登(つまり石川県)で取れた魚です。今回、私は初めて知りましたが、氷見漁港の市場には能登で取れた魚も並びます。大きく分けて「氷見産」と「能登産」に分かれています。悪天候で海が大荒れ、2、3日間船が出せないということもありますよね。そんな緊急事態にでも市場に魚が出回るような仕組みになっています。
本日の魚はどんなものだったのでしょうか。ここで少しご紹介。
こちらはおそらく「ハガツオ」。氷見で獲れる魚の中では主流の魚ではありませんが、網にかかれば獲れるようです。味はカツオとサワラの中間のような味。そう言われると見た目もサワラに似ていて、本カツオのような丸さはありません。
こちらは「シロサバフグ」。本日の水揚げでは多く見かけた魚です。火を通しても固くなりにくく、鍋にしても、焼いても、刺身でも食べられるフグです。
こちらは今旬の「アオリイカ」。高級なイカと知られていて、ねっちょりした身が特徴です。今の時期だと氷見の北、灘浦方面の海岸線でもイカ釣りが楽しめるそうです!
こちらは「メギス」。高級魚のようです。誰でも知っている白身魚で天ぷらにすると美味しい「キス」の仲間です。すり身にして食べると絶品のようです。ととぼち(富山では馴染み深い、魚のすり身揚げ)やつみれ汁にしたものをぜひ食べてみたいですね。
その他にも、フクラギ(ぶりの子)やイワシ、アジ、ソイ、タコなど多くの魚が見られました。さすがいろいろな種類の魚が獲れる氷見ですね。冬に獲れる寒ブリが有名な氷見ですが、その他にも一年を通して安定した魚が獲れることが、氷見の魅力です。
移住とは言わないまでも、車にクーラーボックスを積んで、季節に応じた旬の魚を味わいに氷見へ足を運んでみてはいかがでしょうか。それで氷見が気に入れば「週末のお出かけコース」になり、「もっと氷見に浸かりたいから移住したい」というようなシュチュエーションにも繋がります。先ずは気軽に氷見へ遊びに来て見てください!ちなみにどのお魚屋さんも親切な方ばかりなので、お願いすれば家で簡単に調理できるようにさばいてくれますよ。お魚屋さんに興味のある方はぜひこちらもご覧ください。(岩田慧一)