みらいエンジンスタッフの岸本です。
冬のある日の朝。
珍しく早朝に目が覚めてカーテンを開けると、なんとも神秘的な朝焼け。
(拡大して撮ったので画像が粗くなっています、すみません)
妙に厳かな気持ちになり、天気も良さそうなので出かけることにしました。
何せ、雪の季節になってからというもの、引きこもりに磨きがかかっている筆者。
たまに外出すると、ハッとさせられる事があります。
日光を浴びると、自分が人間であったことを思い出すというか。
綺麗な朝焼けを見て厳かな気持ちになったので、散歩コースはお寺を目指すことにしました。
あんな鬼のように降り積もっていた雪も、晴天が続いてご覧の通り。
自転車もスイスイ走っていきます。
出発したのはお昼少し前。
前回、海辺でのランチを計画した時と同様、散歩して昼食をとって帰宅のプランです。
でも今回はお店は決めていません。
あと、獣に昼食を奪われた心の傷がまだ癒えていないので、屋外で食べるのはやめておきます。(寒いし)
氷見市民会館の交差点を朝日山公園方面へ曲がり、上日寺への道を進むと、昨年秋にアペロが行われた湊川へと出ます。
ここでまたアペロしたい。
雪解けの季節が待ち遠しいですね。
川沿いの緑が冬の彩度低めな景色に映えていて、視界を鮮やかにしてくれます。
あちこちよそ見しながら、上日寺までの道をひたすら真っ直ぐに進みます。
上日寺は、氷見で4月17、18日に行われるごんごん祭りの会場。
この道は参道となり、出店が並んで参拝客が賑やかに行き交います。
商店街から上日寺までは歩いて10分かからないくらい。
静かな住宅街の最奥までたどり着くと、山寺の雰囲気に包まれます。
ちなみに、ここが朝日山の入り口でもあります。
出発前に、家族に「なぜこの時期に上日寺に行くの?」と聞かれました。
新緑や紅葉の季節にすればいいのにと。
でも、冬の寒い空気の中だったり雪の中の寺社仏閣って、荘厳な雰囲気が際立っているように感じませんか。
入ってすぐの場所に、イチョウの木があります。
樹齢1000年以上で長い間霊木として尊崇されてきたそうです。
氷見の観光パンフレットに必ず掲載されている有名な大イチョウの木。
時々、観光バスも来たりします。
でも、このイチョウだけ見て帰るのは非常にもったいない…!
上日寺の良さはまだまだこの先にあるんですよ。
奥へ進むと、本堂があります。
ひっそりと、山の麓に佇む古寺。
まさにこの空気感を浴びに来たんです。
寺社仏閣の類は好きで良く行きますが、敷地内には居ると空気が澄んでいて、独特の雰囲気がありますよね。
自然に、背筋がピンと伸びます。
上日寺の観音菩薩霊水。
2017年に改修工事が行われたみたいで、とっても綺麗になってました。
古くより、無病長寿に効く霊水といわれているそうですよ。
霊水と聞いただけで、なんだか痛いところが治りそうな……
ファンタジーRPGゲームだったらHP回復しそうです。
え……水ってこんなきれいだっけ……?
思わず呟いてしまいました。
流水音も無く、透明度を限界値まで極めたような水がとろりとろりとそこに沸き続けているんです。
見ているだけで癒されて、頭の中が空っぽになるというか、邪念が流されていく気がします。
飲料の際は蛇口からどうぞ、だそうです。
背後には龍神池。
こちらは龍の石像でしょうか。
さて、ここからまだまだ奥があります。
長く続く階段。
山寺ならではですよね。
階段を上がると、左脇に鐘つき堂があります。
言い伝えでは、江戸時代初期に起こった大日照りのための雨ごい行法が成就したことで、農民たちは狂喜乱舞。上日寺の鐘を打ち鳴らして喜び祝ったのが、ごんごん祭りの由来だそうです。
階段を登った正面に大きな御堂があります。
雪の重さで折れたのでしょうか、倒木があちこちに。
幼い頃から何度も来た事がありますが、改めて見上げてみると、非常に立派で、歴史を物凄く感じますね。
なんでも、前田藩の修業の場だったとか。
なんて書いてあるのか分かりませんが、そこがまたいいですね。
ここにも龍神様が飾られています。
沖縄でよく見る、シーサーのような飾り。
(飾りと言っていいのか…?)
やはり、雨乞い成就の由来があるだけに、水の属性なのでしょうか。
ファンタジー好きオタク魂がぐいぐい刺激されます。
お参りをして、ぼうっと景色を眺めてみます。
そうだ、○○行こうのCMに負けず劣らず……とまではいきませんが、なかなか良い景色じゃないですか?
町の喧騒も無く、鳥の声と、風の音だけが在って、頭の中がスッキリ。心が整っていく感じがします。
筆者がうろうろしている間に、地元の方が何人かお参りにいらっしゃいました。
私もここを散歩コースにして、定期的にお参りしに来よう。
なんだか、そう思わせられる姿です。
ここで気付きました。
何か絵がある。
合戦絵図のような。
描かれているのは前田藩の方々なのかな。
古ぼけていて良く見えませんが、なんだかもの凄い重要文化財に触れている気がします。
そして、御堂の傍らにあるんですよ……
幼い頃とっても怖くて、怖いのに近づいてしまって、怖くて退散を繰り返していた、閻魔堂が…
この格子の隙間から覗くと、薄暗さの中に木彫りの閻魔像がいらっしゃるんですよ。
なんとも言えないこの怖さ。
人気のない静かな山奥だから尚更そう感じてしまうのでしょうか。
そもそもこの仄暗さが一段と閻魔堂の雰囲気を醸し出していて、いっそLEDで煌々と照らしてあれば恐怖感も薄らぐのに……などと自分本位で罰当たりな事を考えてしまいます。
大人になった今でも少し怖い……というか、背筋がピンどころではなく、ビシッと伸びます。
悪いことは出来ない……正直に誠実に生きよう……
LED付けてくれなんて今後絶対に考えたりしないと誓います。
御堂の周りにも、小さな祠や仏像があちこちに祀られています。
まだまだ雪が厚く残っていたので、入っていく事は出来ませんでした。
なにせ、道路の雪はもうすっかり溶けていると思っていたので、スニーカーで来てしまったんです。
家からすぐの場所にこんなに雪が残っているとは思わなかった。
でも、雪の中のお地蔵様を撮りたい、と果敢に(無謀に)雪の中をスニーカーで突き進んだ筆者。
足を踏み入れた場所に段差があったようで、予想以上に足が深く沈んで、雪の中に静かに転倒。雪まみれになって無言で撤退。
やはり筆者、まだまだ氷見レベル1です。
下山してきました。
上着も靴の中も雪まみれで全身冷え冷えで、昼食をとるお店を足早に探します。
たしか寿司屋があったはず……と思って歩いていたら、見慣れないお店を発見!!
こんな店あったっけ?
看板が比較的新しい……という事は新しく出来たお店か。
名探偵の顔になりながら近づくと、なんとも良い香り。
手作り餃子専門店の字面に、正直にもお腹が鳴ったので、お店に入りました。
綺麗で明るい内装。
昨年12月にオープンしたばかりらしいです。
お店の中はとっても暖かくて、数分前に雪の中に沈んだ記憶が秒で消えていきます。
餃子中心のメニュー。
焼き餃子をお願いしました。
こちらが店主の田中さん。
海外のご出身で、結婚して氷見にいらしたそうです。
朗らかで、穏やかで、気さくな田中さんと話していたら、雪に埋もれて全身びしょびしょになっていたはずなのに、なんだかあたたかい気持ちになります。
以前は持ち帰り用の冷凍餃子のお店を別の場所でしていて、やっぱり出来立てをお客さんに食べて欲しい!という気持ちで、このお店をオープンしたのだとか。
焼きたての餃子。
ひとつひとつが大きくて、厚めの皮はモチモチ。中の餡もしっかり味が付いていて、タレ無しでも美味しいです。
家の近くにこんなに美味しい餃子屋さんが出来て、筆者の食事情がまたひとつ満たされていくのを感じました。
お店を出ると、靴の中はやっぱり濡れていて冷たくて、雪の中に沈んだ記憶が蘇ってしまったのですが、見上げたら桜の木につぼみの片鱗が見えました。
雪解けを待ちながら、これからも氷見レベルを少しずつ上げていこうと思います。