こんにちは!ひみ暮らしサポーターズの北條です。
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突然ですが、ふと頭に浮かぶ冬の思い出には、温かい食べ物が手元にありませんか?
私の場合は、小学校低学年の頃、父親に連れて行ってもらったスキー場での思い出です。
当時は、かろうじて滑れるものの、うまく止まれず転んでばかりでした。上手くいかない苛立ちと、肌が痛むほどの寒さから来る疲れを察した父親は、リフト乗り場にある自販機で、缶のコーンスープを買ってくれました。不思議なことに、この時に飲んだ市販のスープの味は、20年近く経った今でも覚えています。
寒い冬にいただく温かい食べ物には、ひと息させてくれる以上のチカラがあると思います。
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さて、今年の冬からは、氷見の食材の美味しさが溶け込んだ” スウプ ”が、まちなかでの思い出を彩ります。
中央町商店街に新しくオープンしたテイクアウト専門のスープのお店「スウプはやし」へお邪魔してきました。
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上の写真の通り、当店は中央町商店街の一角に位置しています。北の橋側から店舗を見ると、紺色から深緑へのグラデーションが施された壁と、空色にペイントされたシンクが特徴的です。
改装前はタクシー会社の事務所だったため、1階部分は駐車場として使われていました。それを利用したことで、お店へ立ち寄りやすい店舗レイアウトになりました。
当店では、週替わりで三種類のスウプを販売しています。氷見のお野菜を使い、調理にひと手間を加えたスウプは、身も心もあたためてくれます。
#10 キクイモとリンゴのポタージュ
#11 鶏と根菜のスウプ
#12 フィスクスパ
「スウプはやし」を運営するのは、合同会社空(くう)くくるの代表・林美湖(よしこ)さん。地域の人からは、”ミコさん”の愛称で親しまれています。
林さんは、新潟県佐渡島のご出身。東京のまちづくり関係のNPO、世田谷区と横浜市の役所勤務を経て氷見市へ移住。同市の職員として勤務したのち退職され、現在に至ります。
記事の後半では、林さんからお聞きした、スウプ作りや食材に対する思い、氷見で暮らす魅力などをお届けします。
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ー お店をオープンされて、反響などありましたか?
毎週来てくださるファンのようなお客さんが出来てきました。「今週のメニューは何ですか?」とか「全部のメニューを制覇したい!」と言ってくださる方が来られて嬉しいです。
以前、雨風が酷くて、お客さんがほとんど来ない日がありました。少し凹んでいたら、初対面の方が手作りのプレゼントを持ってきてくれて、泣きそうになるほど感動しました。
ー どうしてスープのお店をやろうと思われたのですか?
もともとスープが大好きで、自分でもよく作っていました。スープに限らず、手の込んだお料理はなかなか作れないじゃないですか。ひとり暮らしの方や子育てで忙しい方は特に。そういう人たちに、いいもの、きちんとしたものを、そこまで高くない値段で提供したいという思いから、このお店を始めました。
ー 長く働かれてきた自治体職員を退職され、起業した理由を教えていただけますか?
ひとつは、自分の好きなことを自分で行うために起業しました。もうひとつは、まちづくりをずっとやりたいと思っていたからです。これまでの経験やアイデアがあるのだから、自分がまちづくりのプレーヤーの一員にならなければと。
ちなみに、中央町商店街に出店した理由は、まちの当事者になって、防災街区利活用の成功モデルを作りたいと思ったからです。「(防災街区が)こんなふうに生まれ変わるんだ」とみんなに知ってもらいたいです。
林さんが魅力に感じる防災街区の連窓(窓が横に連なっている状態)
ー スウプに使う食材や調理へのこだわりを教えてください。
氷見は、ひみ寒ぶりや氷見牛だけじゃなくて、氷見ベジをはじめとする自然栽培のお野菜が盛んです。美味しいかつ安全安心なお野菜の素材の味を引き出すようにスウプを作っています。なので、コンソメキューブみたいな人工的な調味料は一切使っていないです。カボチャのポタージュなら、カボチャと水と塩だけでコトコト煮込みます。
ひと目見ただけでわかる新鮮な食材たち
素材の旨味を逃がさないため、ローストしてから調理したり、ひと手間加えているのが美味しさの秘訣
ー さまざまな土地で暮らされてきた林さんの視点から、氷見の魅力を教えていただけますか?
まちがコンパクトですよね。海と山が近いですし、都市機能がキュッと収まっている印象です。
あとはやっぱり、景色が魅力的だと思います。昨日も夜11時半くらいまで仕込みをしていて、ヘトヘトで帰宅しようとしたら、星空がすごい綺麗で疲れが吹き飛びました。「なんて良いところに住んでいるだろう!」と改めて思いましたね。
氷見は自然が豊かですよね。星が綺麗ということは、空気がきれい。空気がきれいだから、お野菜も美味しいです。
ー 最後に、これからの展望について教えてください。
この場所はこれから、2階をフルーツパフェのお店にして、3階を民泊にしようと考えています。ここが目的地になるようにしたいです。景色を眺めながら美味しいものを食べて、楽しい時間を過ごしていただいて、「氷見っていいところだね」と言って帰ってもらいたいです。
会社(合同会社空くくる)としては、空き店舗利活用のプロデュースをしていきたいです。まちの空き店舗・空き家が減り、「まちが面白くなったね」とみなさんから言われるように少しずつ変えていきたいです。
ー ありがとうございました。
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中央町商店街のアーケードを歩いてスウプを買いに行く。観光で訪れた方はもちろん、普段から氷見で暮らしている私にとっても、ちょっぴり特別な日常です。
月日が経ってふと思い出す「昭和レトロな商店街でいただいたスウプの味」。ぜひみなさんも体験してみてくださいね。
<営業情報>
スウプはやし
場所:富山県氷見市中央町14-7
営業日:水曜 〜 土曜
営業時間:11:30 〜 18:00(売り切れ次第終了)
Instgram:@soup_hayashi
