氷見に暮らす私たちと、
氷見に移住するあなたが、
一緒につくる、まちの未来。
2023.01.10

継業で輪をつくる、ひろがる。ー「食彩ふるさと論田加工グループ」を例に ー

北條 巧磨
北條 巧磨
写真家

こんにちは!ひみ暮らしサポーターズの北條です。
 
以前公開した『継業のすゝめ』という記事では、第三者による“事業承継型継業”のメリットとデメリットを、ボーノ・ペッシェさんの事例をもとにご紹介しました。こちらは、地方へ移住して起業したいと考えている方に、ぜひ読んでいただきたい内容となっています。
 
継業には他の側面もあります。高齢化が進む中山間地域の伝統文化や産業、農業において、地域ならではの技術知恵をみんなで引き継いでいく、という選択です。前者と比べて、個人がある事業を丸ごと引き継ぐ必要は無いため、一人あたりの負担を分散でき、かつ参加者それぞれの状況に応じて関わり具合を調整できる点が特徴と言えます。(コミュニティのような形)
 
最近ではリモートワークによる地方移住も増えてきました。移住者などの若い世代が地域と繋がるため、そして後継者・担い手不足を解決するため、継業という働き方・暮らし方は様々な可能性を秘めているのではないでしょうか。
 

 
氷見市の論田地区にある「食彩ふるさと論田加工グループ」さん(上写真)も、特産品である草餅を製造する次世代の担い手がおらず困っていました。そこで、地域内で声掛けなどをしたところ、約8名の“担い手候補”が見つかったそうです。現在は定期的に練習会を設けながら、先輩たちからノウハウを教わっています。
 

 
今回はその模様をお伝えしつつ、継業の可能性について探ってみたいと思います。
 
.
 
● 論田地区とは?
 
論田地区は、氷見市と羽咋市(石川県)の中間に位置する里山集落です。両市中心市街地から車で約20分の立地は、程よい田舎暮らしを実現できる環境と言えます。獅子舞や藤箕(ふじみ)が有名で、地域ならではの文化が古くから根付いています。
 
また、熊無地区と共同で設立した「ろんくま移住促進委員会」は、富山県の移住者受け入れモデル地域に指定され、移住に対しても積極的に取り組んでいます。
 

YouTube「Himi IJU Ch. / 氷見移住チャンネル」より
 
・関連記事:氷見ろんくまを知る・学ぶ ~『集落の教科書』を考える~
 
● 草餅の魅力をご紹介!
 
食彩ふるさとで作られる草餅は、地域内で採れるもち米とヨモギを使用しており、市内外の販売店に商品が並ぶと、すぐに売れ切れるほどの人気を誇っています。
 

新芽のみを使ったヨモギの爽やかさと、粒あんの程よい甘さが人気の秘訣
 
草餅づくりは全てが手作業で、一つひとつ丁寧に行われています。現在4名の方が中心となって業務を担当していますが、体力の問題もあり、これ以上続けるのは難しい状況となってしまいました。
 

 
● 草餅を次世代に継なぐ
 
もしも論田地区に草餅が無くなってしまうと、地域の働き場が無くなってしまうだけでなく、商品に使う農作物を納める所が無くなってしまうなどの悪循環が生まれます。
 
この事態を乗り越えようと、草餅作り体験を企画したり、地域内で声がけを行ったりしたところ、約8名の手が挙がりました。
 

 

 
今では、先輩たちから技術を学ぼうと、定期的に会を設けて草餅づくりに励んでいます。
 

まずは粒あんをまるめて、
 

適量の草餅を手に取って、
 

平らに広げた草餅に粒あんを包み込む。
 

コロコロまるめて・・・
 

できあがり!
 

丁寧に包装して出荷準備をします。
 

 
後片付けをしながら、次の日に向けた仕込みを行って、練習会は無事終了しました。
 

 
作業後は、コーヒーを飲みながら談笑したり、今後について話し合ったりして、コミュニケーションを図ります。
 

 
● 継業で新たな地域コミュニティをつくる
 
今回伺って感じたのは、草餅の継業をきっかけに、ひとつの地域コミュニティが出来つつあるということでした。引き継ぎに向けた課題はまだまだあるなか、こうして人が集まれば、それらを打開できる大きな力を持つはずです。そしてもし、外の視点を持った移住者さんやスキルを持った人たちも加わると、より新たな可能性が広がることでしょう。
 

 
近い将来、継業が副業のような身近な存在となり、地域に欠かせないモノやコトを継承しようとする文化が、もっと広がればいいなと思います。
 
働き方が多様で柔軟になれば、地域との繋がりも再び生まれてくるはずです。
 
.
 
継業で地域の輪をつくる、そして広がっていく。
 
地域としごとの古くて新しい関係。みなさんはどう思われますか?

お問い合わせ

氷見市IJU応援センター・みらいエンジン
氷見市IJU応援センター・みらいエンジン

メール/電話の場合

mailinfo@himi-iju.net tel0766-54-0445

現地の場合

pin富山県氷見市中央町9-1

timeOPEN:9:30 - 18:30※水・木曜日定休

parking「まちなか駐車場」をご利用ください